神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡

ジュリアン・ジェインズ(著)柴田 裕之(訳)
発行:紀伊國屋書店
四六判 640ページ
定価 3,200 円+税 3,520 円(税込)
ISBN978-4-314-00978-2

¥3,520 (税込)

説明

《3000年前まで人類は「意識」を持っていなかった!》

動物行動学から出発し人間の意識の探求に踏み込んだ研究者が、楔形文字の粘土板や碑文・彫刻、ギリシア叙事詩『イーリアス』『オデュッセイア』、旧約聖書などの分析から、とてつもなく壮大な「意識の誕生」仮説を樹ち立てた――人類の意識は今からわずか3000年前に芽生えたもの、意識誕生以前の人間は右脳に囁かれる神々の声に従う〈二分心〉(Bicameral Mind)の持ち主で、彼らこそが世界各地の古代文明を創造した、やがて〈二分心〉は崩壊、人間は文字と意識を得た代わりに神々は沈黙した、と。

意識論の大家ダニエル・デネットは、著者の仮説を高く評して「ソフトウェア考古学」と呼ぶ。地層から掘りだされる化石や骨では人間の心のことまでは伺い知れないからだ。

意識の哲学・心理学から歴史・文明解釈、現代人における〈二分心〉の名残までの三部構成からなる本書は、著者の生涯を賭けた金字塔で、発売当初から様々な方面で論議と話題を呼んだ。記述は膨大な証拠に裏打ちされ、過去ばかりか今日と未来における私たちの心の奥底にまで関わり、従来の見方を180度転換する。「知られざる巨人」の生涯ただ一冊の渾身の書。

「前2000年紀末まで人類は意識を持たず、神々の声に黙従していたというジュリアン・ジェインズの仮説を目にした者は……愕然となるが、その正当性を裏づける証拠の数々を確認しながら、この驚くべき主張を最後までたどらずにはいられない」
ジョン・アップダイク(「ニューヨーカー」誌)

「本書を読み終えたばかりの私は、キーツの描くコルテスになって太平洋の大海原を眺めているような気がする。いや、少なくとも、ダーウィンかフロイトの著作を最初に読んだ書評家のような気分だ。この新たな領域をどう捉えたものか、見当もつかない。だが、それは紛れもなく眼前に広がり、そこに秘められた力に私は息を呑むばかりだ」
エドワード・プロフィット(「コモンウィール」紙)

目次
【目次】
序文
序章 意識の問題
第一部 人間の心
第1章 意識についての意識
第2章 意識
第3章 『イーリアス』の心
第4章 〈二分心〉
第5章 二つの部分から成る脳
第6章 文明の起源
第二部 歴史の証言
第1章 神、墓、偶像
第2章 文字を持つ〈二分心〉の神政政治
第3章 意識のもと
第4章 メソポタミアにおける心の変化
第5章 ギリシアの知的意識
第6章 ハビルの道徳意識
第三部〈二分心〉の名残り
第1章 失われた権威を求めて
第2章 予言者と憑依
第3章 詩と音楽
第4章 催眠
第5章 統合失調症
第6章 科学という占い
後記
訳者あとがき
原注
事項索引
人名索引

著者プロフィール
ジュリアン・ジェインズ (ジェインズ ジュリアン) (著)
著者】ジュリアン・ジェインズ(Julian Jaynes)
プリンストン大学心理学教授。1920年生まれ。ハーヴァード大学を経てマクギル大学で学士、イェール大学の心理学で修士・博士号取得。1966年から1990年までプリンストン大学心理学部で教鞭をとった。研究者としての初期は動物行動学、後に人間の意識に関わる研究へとシフト。1976年に『The Origin of Consciousness in the Breakdown of the Bicameral Mind』(『神々の沈黙』原題)を刊行。刊行後すぐに様々な批判と論議を呼ぶ一方で賞賛を集め、「20世紀で最も重要な著作のひとつ」と評された。

柴田 裕之 (シバタ ヤスシ) (訳)
【訳者】柴田裕之(しばた・やすし)
1959年生まれ。翻訳家。早稲田大学理工学部、アーラム大学卒。訳書にハラリ『サピエンス全史』『ホモ・デウス』(以上、河出書房新社)、ベジャン『流れとかたち』『流れといのち』、コーク『身体はトラウマを記録する』(以上、紀伊國屋書店)、コルカー『統合失調症の一族』(早川書房)、ガロー『格差の起源』(監訳、NHK出版)、ファーガソン『大惨事の人類史』(東洋経済新報社)ほか多数。