説明
前回の読書会で読んだ『地獄』。「他人の物語消費しすぎの罪」で地獄に堕ちた小説家を待ち受ける試練とは? というのがいちばん手短な紹介になると思いますが、読んでみるとちょっと愉快で、でもやっぱりいろいろ考えさせらる短編でした。
愉快というのは、地獄で働く鬼たちが大きな会社の従業員みたいだったり、主人公をはじめとする地獄に堕ちた人の扱いがやはり「地獄の沙汰も・・・」的な側面があったり(金では解決しません、念のため)することによるかもしれません。
そもそも「物語消費しすぎの罪」ってなによ?という感じですが、ドラマ、映画、小説、スポーツ(サッカーや自転車レース)など、ネット配信が盛んないま、皆さんも他人事と安心はしていられないのではないかと思います。
そして、もし自分が地獄におちるとしたら、何の罪で?と考えてしまうのですが、思い当たったのが「物語消費しすぎの罪」ではなくて「本の中身をろくに読みもせずに大量に仕入れ、さらに大量に返品した罪」だな、確実に、と思い至りました。私には地獄でどんなタスクが課されるのでしょうか。
もしかしたら私は既に地獄に堕ちてしまったのかもしれません。本屋がばたばたつぶれるのはそういうことか。一方、こじんまりと、でも共感できる本だけをしっかりと届けようとしている新しい本屋さんたちのことを思い出しながら、自分が地獄から逃れるためにはどうすればいのかと考えています。